NUMECA is now Cadence

ターボチャージャーインペラーの最適化

 

本ケーススタディは、FORD Motor Company様のターボチャージャー用圧縮機を用いた複合領域多点最適化です。

本ケーススタディのゴールは次の2点です。
①圧縮機流量の拡大
②サージマージンの改善

 

 

 

目的関数に設定したチョーク流量の計算ばらつきは33%減少し、効率の計算ばらつきは48%近く減少したことで、性能安定性が大幅に向上すると考えられます。

NUMECA International ターボ機械部 部長 Yannick Baux

 

本ケースでは、設定が異なる2つのメッシュ内容をそれぞれチョークおよびストール近傍に適用しています。

 

解析内容

[解析領域]
CFD領域: インペラ入口からVolute出口まで(インペラ部にケーシングトリートメント有)
構造解析領域: 背面形状を装着したインペラ部

[解析手法]
流体解析+構造解析

[最適化内容]
インペラ形状の最適化

[合計格子点数]
660万点(内訳は次の通り)
・270万点 (流路入口+インペラ+ディフューザ)
・200万点 (ケーシングトリートメント流路)
・150万点 (Volute流路)
・40万点 (インペラ背面形状のソリッド部)

[最適化ソフトウェアおよびメッシュ生成ソフトウェア]
FINE™/Design3D
IGG™AutoGrid5™ (流体解析領域のメッシュ生成)
HEXPRESS™ (構造解析領域のメッシュ生成)

 

 

設計空間

[設計変数 (計19点)]
・インペラ子午面図のHub曲線(2点)
・インペラ全翼キャンバー曲線(Hub断面3点、Tip断面に3点で計6点)
・インペラ半翼キャンバー曲線(Hub断面3点、Tip断面に3点で計6点)
・半翼の子午面方向位置(1点)
・半翼の接線方向の位置(2点)
・接線方向のスタッキング(2点)

[解析条件]
・120,000RPM (チョークおよびストール時)
・40,000RPM (ストール時)
・130,000RPM (最大応力時)

[考慮した不確定項目とその領域]
・チップクリアランス高さ(±25%)
・翼厚(±1%)
・入口全圧(±1%)
・出口静圧(±1% )
・異なる境界条件(チョーク側、ストール側)

 

最適化諸元

標準的最適化手法とロバスト最適化の諸元は次の通り

 

標準的最適化手法 ロバスト最適化手法  

2つのストール点における効率を最大化(2つの目的関数)

 

 

2つのストール点における効率の平均値を最大化(2つの目的関数)

2つのストール点における効率の標準偏差を最小化(2つの目的関数)

チョーク流量を最大化(1つの目的関数)

 

チョーク流量の平均値を最大化(1つの目的関数)

チョーク流量の標準偏差を最小化(1つの目的関数)

2つのストール点における圧力比の維持(2つの制約条件)

2つのストール点における圧力比の維持(2つの制約条件)

ミーゼス応力値レベルを維持(1つの制約条件)                                                

ミーゼス応力の平均値レベルを維持(1つの制約条件)

 

例えば目的関数として設定した効率では、標準的最適化手法では2つのストール点における効率を最大化の2つの目的関数ですが、ロバスト最適化手法では2つのストール点における効率の平均値を最大化、さらに予測効率の計算ばらつきを最小化のため、4つの目的関数の設定になりました。

 

 

検証:オリジナル形状と最適化形状

標準最適化手法で得られた形状(図左列のDeterministic Design1)の性能をロバスト設計最適化手法で得られた形状(図中央列のRobust Design1)と比較すると、チョーク流量および予測効率の平均値は同レベルですが、計算ばらつきはロバスト設計最適化では定義したことによって減少していることがわかります。また、最適化後の羽根形状がかなり変化していることもポイントです。

 

 

 

  • 平均チョーク流量:+6.7%
  • チョーク流量の計算ばらつき:-7.2%
  • 平均効率(120,000RPM):-2.8%
  • 予測効率の計算ばらつき(120,000RPM):+36.85%

 

 

 

  • 平均チョーク流量:-10.9%
  • チョーク流量の計算ばらつき:+80.8%
  • 平均効率(120,000RPM):+5.4%
  • 予測効率の計算ばらつき(120,000RPM):+53.8%

 

  • 平均チョーク流量:+4.2%
  • チョーク流量の計算ばらつき:-33.0%
  • 平均効率(120,000RPM):-3.8%
  • 予測効率の計算ばらつき(120,000RPM):-47.9%

 

 

まとめ

標準的最適化手法とロバスト最適化手法を用いて複合領域多点設計最適化を実行しました。不確かさを考慮した最適化設計を実施することで、設定した不確かさ領域に対し、設計結果として得られた性能の感度を評価することができます。目的関数に設定したチョーク流量の計算ばらつきは33%減少し、効率の計算ばらつきは48%近く減少したことで、性能安定性が大幅に向上すると考えられます。