多段遠心圧縮機の設計最適化

    Anne-Marie Schelkens     顧客事例     15.02.2019

Authors: Vladimir Neverov, Ivan Cheglakov, Specialists on compressor machines, Aleksandr Liubimov, Head of Advanced Development and Design Department, ENTECHMACH, Russia.


ロシアのサンクトペテルブルクにある研究開発会社のENTECHMACH社は、25年以上にわたって電力工学分野での事業を展開しています。主な事業内容は、遠心圧縮機と軸流圧縮機、蒸気タービン、マルチプライヤ、空冷および水冷システムを備えた熱交換器の設計と製造です。

 

2年間、同社はOMNIS™/ Turboを使用して産業用遠心圧縮機の流れ解析と最適化を行っています。ここで紹介するのは、接触分解技術における3段式空気遠心圧縮機の改善プロジェクトに関するものです。

 

課題

既存の圧縮機は多くの問題点を抱えています。本ケースの場合、カバーディスクが応力集中の発生する領域を引き起こし、不適切な材料の選択と多くの性能上の問題によってステーターを破損させていたため、多段遠心インペラの運用にはこうした問題をクリアする必要がありました。また効率と吐出圧力が不十分で、サージマージンが低すぎる上、消費電力が高すぎました。

最初のステップとして、NUMECAのOMNIS™/ Turboを使用して、圧縮機の完全な性能マップを作成し、効率損失と低サージマージンの主な原因を明確に特定しました。結論としては、圧縮機の改善のためには、コンプレッサーケース、ベアリング、潤滑油システムのローターとステーター部を完全に交換する必要があることがわかりました。

     

最適化

ディスクをカバーするクローズドインペラと比較して、発生する応力が半分となるため、セミオープンインペラを備えた新しい圧縮機を設計する試みがなされました。

新しいインペラが最高レベルの効率、圧力比、サージマージンを確実に実現できるように、インペラ、ベーンディフューザー、リターンチャネルを含む全ての流路要素は、NUMECAのFINE™/ Design3Dで最適化されました。

NLH法を使用して、インレットチャンバーと最初のインペラのインレットガイドベーン全周の影響、および最後のディフューザーブレード列に対する出口チャンバーの影響を調査しました。長い羽根のない部分とブレード部を結合して形成されるベーンディフューザーがすべての段に取り付けられています。数値解析により、この新しい圧縮機の利点が確認されました。広い動作範囲とステーター部での損失の削減(ベーンレスディフューザーの場合と同様)と、同時にリターンチャネルの入口で最適な流れ条件を実現し、効率の向上(ベーンディフューザーと同様)が期待できることが確認されました。

リターンチャネルの最適化のための主な課題は、各インペラの入口における流れの方向を制御することです。従来のリターンチャネルの2Dプロファイルを分析したところ、全域において軸方向の流れが実現できていませんでした。左側の図3に示すように、ハブとシュラウド部には極めて不均一な流れが存在しています。

 

この問題を解決するために、2Dメインプロファイル部と3Dアウトレット部の2つのパーツで構成される新しいタイプのリターンチャネルを開発しました。2Dメインプロファイル部は、可能な限り流れの不規則性を減少させる方法で計算され、3Dアウトレット部は、全域で効果的な流量調整を持つように設計されました。この方法により、リターンチャネルの2次流れが大幅に抑制されました。図3で、改善後に不規則性が解消されていることが確認できます。リターンチャンネルの再設計により、インペラの流入条件が改善され、結果的に2番目と3番目のインペラの動作範囲が15%以上拡大しました。

新しいコンプレッサーの性能マップは、さまざまな動作条件、具体的には、吸気ガイドベーン(IGV)のさまざまな入射角と吸気温度に対して再度計算されました。その結果を図4に示します。

 

メッシュ生成

圧縮機のフルメッシュモデルは、IGG™およびOMNIS™/AutoGridを使用して作成されました。すべてのブレード列、インペラとステーターの間の隙間、出口チャンバー、およびすべてのラビリンスシール領域含む構成要素を、約4,000万セルでメッシングしました。尚、計算にはSpalart-Allmaras乱流モデルを採用し、y +が推奨範囲にあることを確認しました。高品質なメッシュを作成できるので、計算にCPU Booster™を活用でき、時間と計算リソースを大幅に節約することが可能となりました。

 

結果

改善された圧縮機の工業試験では、通常モードでのポリトロープ効率が約6.5%abs増加しました。また、消費電力についても同じ割合の減少が確認されました。圧力比は、改善前の4.1から4.5の高い圧力比にまで達しました。さらに、サージマージンは、以前の6%から後の50%に大幅に増加しました。また、最小性能での消費電力は1.5倍低くなりました(約2.5MW)。

新しく改善された圧縮機は、顧客の現場でも正常に動作しており、その信頼性が証明されています。

 

     

 

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Anne-Marie is the Head of Marketing and Communication at NUMECA International. Prior to joining the company in 2016, she held various roles in the automotive and ICT industry in Belgium and Spain.