Marintek様が滑走状態における船体抵抗曲線の予測にFINE™/Marineを選択

 

滑走状態における船体の抵抗曲線の予測と模型試験に対する検証を目的として、Marintek様は、このユーザー事例においてFINE™/MarineとHEXPRESS™を使用しました。

ノルウェー海洋工学研究所(MARINTEK)様は、船舶および石油・ガス分野や海洋エネルギーを中心に、世界市場向けの海洋技術の研究開発を行っています。MARINTEK様の主な事務所および研究所は、ノルウェーのトロンハイムにあります。MARINTEK様は、物理モデリングと数値モデリングの手法を合理的に組み合わせることを一貫した戦略として掲げ、研究活動と商業サービスに携わっています。船舶およびプロペラの性能予測、設計最適化プロセス、伴流解析、および船体-プロペラの相互干渉に関する研究は、船体流体力学に適用されるCFDの事例のほんの一部に過ぎません。
http://www.sintef.no/marintek/

STM様は、1991年にトルコ防衛産業執行委員会の命令により設立され、トルコ軍(TAF)およびトルコ防衛産業庁(SSM)向けにシステムエンジニアリング、技術サポート、プロジェクト管理、技術移転および物流支援サービスを提供しています。また、防衛システムに必要なソフトウェア技術の開発や、ソフトウェア開発、メンテナンスおよびサポートを行う国立ソフトウェアセンターの設立と運営にも携わっています。
https://www.stm.com.tr/en/

 

ユーザー事例

新しいパトロール船の平水中におけるトータルの船体抵抗は、CFDシミュレーションおよびモデル試験によって評価されました。船体形状はSTM様によって開発され、その主要寸法は次のとおりです。

垂線間長さ LPP [m] 56.1
B [m] 8.63
喫水 T [m] 1.68


このケーススタディの主な目的は、プロジェクトのその後の段階でエンドユーザーにCFDが高い精度であることを保証するために、模型試験に対してCFDの精度を検証することでした。3つの船速(20、45、55ノット)について模型試験とCFDの比較を行いました。

CFDシミュレーション

異なる船速に対してCFDシミュレーションを実施し、船体の全抵抗を算出しました。シミュレーションは、FINE™/Marine 4.2を使用して、十分水深が深い条件のもと、実機スケールにおいて、海水で実行されました。

HEXPRESS™を使用して、船の形状のメッシュが作成されます。船体表面の第一層メッシュはY+が30から80の間になるように作成しました。Y+がこの範囲になるように、異なる流速ごとに、メッシュを作成しました。計算精度向上のため、各シミュレーションの最終段階で、船体近傍の自由表面に対し解適合格子を使用しました。最終的なメッシュ数は、500万から750万になりました。

このシミュレーションでは、推進力をウォータージェットの作用の中心に加わる力としてモデル化しました。空気抵抗を前面投影面積の中央に加わる力としてモデル化しました。

   

図:(左)55ノットの波形分布(右)55ノットでの異なるステーション位置における船首波形状と船体表面の静水圧力

 

模型試験

船体モデルは、流体力学上滑らかな表面仕上げの塗料でコーティングされた発泡体と木材で作られ、模型スケールは1:16です。乱流促進のために、キールに沿って船首から位置17(下図参照)まで、船体に細かい砂の粒子を塗布しました。

抵抗試験は、MARINTEK様の高速装置で牽引されたモデルを用いて実施され、抵抗、トリムおよび船体沈下量を測定しました。模型試験の設定では、船体は上下揺れ(ヒーブ)、横揺れ(ロール)、縦揺れ(ピッチ)については自由に動き、その他のすべての自由度については固定されます。

水線より上の投影面積に対する空気抵抗の影響は、船の投影面積に基づいて予測に反映されます。

   

図:船体と波のパターン(鳥瞰図および下面図) 

 

全抵抗への変換

模型スケール(CFDまたは実験)から実機スケール船への変換は、形状影響係数を使用して行われます。この方法では、全抵抗を、粘性抵抗と剰余抵抗(渦、造波および砕波による抵抗)CRに分けられることを想定しています。粘性抵抗は、摩擦抵抗CFと一定の形状影響係数k0の積によって算出します。この形状影響係数は模型スケールと実機スケールで一致します。また、余剰抵抗CRもモデルと船で一致することを前提とします。

CFD結果または実験結果を全船体抵抗RTに変換する際には、経験式によって船体表面の粗さの影響を考慮します。結果は、無次元の全船体抵抗CTで表され、船の動的な浸水長および浸水面積を使用して次元化が実行されます。

 

結果

次の表では、予測される全船体抵抗について、模型試験から得られた結果とCFDから得られた結果を比較しています。すべての速度で、結果は0.7%以内の差異となっています。トリム角も、0.5度以内の差異となっています。これは、トリムの測定値がスケール効果に対して補正されていないことと、CFDメッシュを船体周りで細分化すれば、より精度の良い再現できることを考えると満足のいく結果です。

 

    モデル試験 CFD
VS [ノット] FN [-] CTS [-] トリム [度] CTS [-] (%) トリム [度] (Δ)
20.0 0.439 8.64 0.74 8.70 (+0.7%) 0.64 (-0.10)
45.0 0.998 4.41 1.66 4.38 (-0.7%) 1.32 (-0.34)
55.0 1.226 3.66 2.27 3.64 (-0.5%) 1.75 (-0.52)

 

   

図:模型試験の結果とCFDの結果との比較(無次元の全船体抵抗CTおよびトリム角度)

 

結論

平水中における全抵抗について、模型試験とCFDによる予測を比較した結果はほぼ一致しており、CFDの結果の信頼性が高いことをエンドユーザーに示すことができます。