インタビュー:ETNZとNUMECAはヨット設計のためのパートナーシップを締結!

 

Emirates Team New Zealand(ETNZ)とNUMECAは、今後4年間にわたる技術パートナーシップを締結します。ETNZがオールドマグ(アメリカンズカップ)で優勝し、世界チャンピオンとなりましたが、NUMECAは今後も2021年にETNZがタイトルを防衛するための支援を続け、最高の次世代CFDソフトウェアを提供します。 

ETNZのCFDスペシャリストであるNick Hutchins氏と、NUMECAの海洋アプリケーションのプロダクトマネージャーであるBenoit Mallolとの対談では、ETNZの主な課題と要件が明らかとなっています。

 

BM: ETNZでのあなたの役割は何ですか?

NH: 私は、VPP(速度予測プログラム)ツールを使用して、あらゆる風の条件で、また考えうる様々な喫水、角度、速度でのボートの性能を解析しています。私はCFD(数値流体力学)の専門家でもあり、数値シミュレーションに関する全ての業務も担当しています。

BM: アメリカズカップでCFD解析を活用しましたが、その際にはどのような制約がありますか?

NH: ETNZでは、特に設計段階で多くのCFD解析を実行します。この段階で、水槽試験まで行う時間の余裕はありません。船型設計に要する時間は、CFDを使用するだけで大幅に短縮できます。我々は、数千のCFD解析を実行して、最適化された形状を見つけるという作業を実施しました。これには、船員からのフィードバックも活用されています。このような大量の計算を行うために、HPC(High Performance Computing)クラスタがありますが、これを活用し、さまざまな下請業者と協力することで、自分たちでできる範囲よりも幅広いケースの調査が可能となりました。また、NUMECAのソフトウェアを使用しているため、下請け業者に協力してもらうのも非常に容易でした。

BM: 最適な形状を見つけるために直面した技術的な課題は何ですか?

NH: 精度とCPU時間のトレードオフを考慮したプロセスが完全に確立されたら、そのプロセスを完全に自動化する必要があります。スクリプト機能だけでなく、FINE™/ Marineで利用可能なウィザードオプションも活用しました。この機能は極めて素晴らしく、これらのツールがなければ、このような多数の設計を調査できませんでした。


スクリプト機能だけでなく、FINE™/ Marineで利用可能なウィザードオプションも活用しました。この機能は極めて素晴らしく、これらのツールがなければ、このような多数の設計を調査できませんでした。


BM: カタマランが到達できる速度の範囲を考えると、設計者は非常に高いフルード数、キャビテーションまたはベンチレーションに対処する必要があります。これらの物理現象では、大きな困難に直面されたと思われますが。

NH: 確かに、より速く走るのはいいことですが、航行中にフォイルが壊れないようにする必要があります。また、キャビテーションやベンチレーションに対処するには、抵抗を増加させるか、ボートを飛行させるのに必要な揚力を減少させなければいけません。我々は、このような現象を制御下に置き、常にコントロールする必要があります。

BM: 最後なりますが、FINE™/ Marineでの解析の再現性は測定データと比較して満足できるものでしたか?

NH: もちろんです!実際の航行状況と比較することは困難ですが、傾向としてはすべて非常に正確であることを最終的に確認しました。このような信頼性を提供できるのは、CFD、特にFINE™/ Marineだけです。

BM: 次のアメリカカップでのCFDにおける課題は何ですか?

NH: 次のアメリカズカップに向けての設計における新しい変更点は、モノハル型のボートを再び採用することにしたので、流体力学的にまったく異なる課題に直面しているということです。流れと、ボートとその付属物の構造変形との相互作用をよりよく理解する必要があると思います。流体と構造の情報を組み合わせたシミュレーションにより、このような事象に対する調査を実行できるはずです。また、前回の設計段階では波の十分なシミュレーションを行いませんでした。通常、レースでは穏やかな海面を航行することになりますが、短い波と小さな波を作り出すような悪天候に備えた十分な準備をしなくてはなりません。


流れと、ボートとその付属物の構造変形との相互作用をよりよく理解する必要があると思います。流体と構造の情報を組み合わせたシミュレーションにより、このような調査を実行できるはずです。


BM: ユーザーミーティングで最近発表された新機能は活用できそうですか?

NH: モーフィングと新しい最適化アルゴリズムは、ロバストな設計機能と組み合わされて、動作の不確実性や製造公差の影響を受けにくい効率的な設計の可能性を開くものだと考えています。また、構造化格子と非構造格子メッシュジェネレータの組み合わせは、精度の面で大きなプラスとなるので、是非とも活用したいと考えています。