フォード: ターボチャージャー用圧縮機の複合領域最適化設計

        顧客事例     25.08.2016

現状、最適化手法が日常の設計作業で採用されない理由として、以下の3つが挙げられます。

  1. 計算リソースの不足:近年は、計算リソースが急激に充実してきていますが、それでも設計最適化をするにはまだ不十分であると考えられています。
     
  2. 複数の設計点の必要性:これまで、最適化と逆設計は単一の作動点を決めて行われており、非設計点における性能、チョーク流れ、低速での性能などを保証、または制御することはありませんでした。プレッシャーと時間の制約の下で働く設計者にとって、費用対効果が保証されない中で、多大な労力を費やすケースはあまり多くありません。
     
  3. 複合領域のニーズ:ターボチャージャーなどの強い機械的圧力の下で動作する製品の設計において、空力性能に限定された、機械的な制御や検証ができない最適化は、それほど必要性のあるものではありません。

 

NUMECAのFINE™/Design3Dは、上記の3つの項目すべてに対するソリューションを提供します。

  1. OMNIS™/Turboソルバーは、1コアに100万セルを割り当てた計算の場合、通常30分から2時間で収束します。多数のコアを指定すれば、3〜4つの作動点における新しい設計の空力解析を、2時間で実行することが可能です。これは、同プロセスを実行するのに1日を要する標準の商用ソルバーと比較して、はるかに優れた性能です。
  2. 最適化は柔軟であり、複数の作動点の問題に簡単に対処できます。以下に示す例では、さまざまな速度におけるストールからチョークまでの性能を調査および制御しています。
     
  3. 最適化の柔軟性により、解析フェーズにCFDソルバーだけでなく、構造解析ツール(または他のソルバー)も導入することができます。 NUMECAはOpen Engineering社とのパートナーシップを結び、FINE™/ Design3DをFEAメカニカルソルバーのOophelieと統合させました。
     

ここで取り上げる最適化のケースは、2015 IGTI Turbo Expo conference (GT 2015-43631)で発表されたものです。 NUMECA-USAは、このプロジェクトでFORD社のターボチャージャー研究グループと協力しました。我々は、主に機械的応力を20%低減させることを目的に、既に高い性能を示している圧縮機の翼形状をベースに、最適化を始めました。空力性能の面では、現状の性能を維持する以外に明確な目標設定はありません。

 

機械的最適化

このプロセスは、バックプレートとボアゾーンの最適化から始まりました。ここでは、構造解析ツールOophelieのみを使用します。以下に示すように、翼モデラーのAutoBlade™がアップグレードされ、バックプレートのパラメータ化が可能になりました。設計パラメータが選択され、変動範囲が適用されると、最適化プロセスは次の2つのステップによって行われることになります。(1) いくつか形状がランダム生成され、FEAツール(DOEプロセス)によって解析されます。 (2) この最初のプロセスで得られた情報は、最適形状を決定するためのオプティマイザーによって使用されます。

       

           バックプレートのパラメータ化

 

解析プロセスは全てバッチモードで実行されました。パラメータを選択すると、形状のCAD定義が生成され、メッシュジェネレーターに供給されます(生成されたメッシュは下図。もしフィレットが形状に含まれていない場合でも、下図のように、フィレットが翼に自動的に適用されることに注意)。その後、メッシュは、FEAツールによって解析されます。

       

          固体領域の非構造メッシュ

 

以下の図に、DOEプロセスで解析されたジオメトリの例をいくつか示します。

       

         ジオメトリの例

 

このケースでは、下図に示すように、応力の大幅な低減が達成されています。

       

          機械的最適化の結果

 

空力-機械最適化

機械的な最適化プロセスは、わずか一晩で完了しました。次に、FINE™/ TurboとFEAソルバーのOophelieの両方を用いて、翼形状と子午面流路の完全な最適化を行います。

初期設計における速度線をいくつか解析しました。計算領域には、ホイールだけでなく、ボリュートとケーシングも含まれます。次に、設計速度時のチョークとストールの条件と、低速時のストール点近傍の条件に焦点を合わせました。このプロセスは、チョーク流れとストール点近傍の性能が維持、もしくは改善されれば、設計性能が間接的に制御されるという仮定に基づいて行われました。

ハブ線と同様に、ベジエ点によって制御される翼型中心線がパラメーター化されました。 また、スプリッター翼の翼型中心線プロファイルと、それらの流れ方向および周方向位置を含めました。 これにより、合計19個のパラメーターが作成されました。

       

         ベジエ曲線によるハブのパラメータ化

 

450個のジオメトリがランダムに生成されました。まず、FEAツールでこれらを計算して、最大応力が大きくなる300個のケースを除外します。それらは、空力性能の低下が見られるジオメトリと見なし、CFD解析を残りの150個のケースのみに適用することで、計算時間を大幅に短縮します。最適化の結果、圧力比がわずかに向上し、機械的応力が20%低減された新しい翼設計を選定することができました。圧力比の性能曲線を以下に示します。

       

         最適化前後の性能曲線

 

 

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